台風と街路樹
台風が来ると本当に身の安全、みなさんにどうか気をつけて〜と願うのだが子供の頃は無邪気というか、イベントのように楽しんでいる部分もあった。家の目の前の道路は他より低いので、大雨が来ると川のようになってしまう。台風などが来ると近所の子供たちを小舟に乗せて、安全なT字路まで運ぶなんてこともあった。一軒家が並ぶ近所の僕たちは、目の前の道路に出られないため、家々を囲むブロック塀をつたって隣家にたどり着き、「ピンポーン、あーそーぼー」と家のチャイムを押すのだった。
「樹木たちの知られざる生活」(ペーター・ヴォールレーベン著 ハヤカワ文庫)
という本があるが、そこでは木々の世界でも協力や村八分があることが叙述されている。彼らにも意識があるのだ。大雨や風に対しては身を寄せ合って自分たちを守る。自然の猛威・力を分散させるのだ。1本だけで生きていくのは大変だ。
台風が来ると街路樹が倒れているシーンをテレビでよく見るが、人間が勝手に等間隔で置いている木々は
「もっとつめて植えてくれよ」
「1本で耐えられるわけないじゃん!」
と訴えているのかもしれない。